消費者心理に付け込んだ還付金詐欺
「還付金詐欺」は「受け取ることのできるお金がある」との誘い文句でATMへ足を運ばせ、操作をミスリードすることで逆に加害者側にお金を振り込ませる「振り込め詐欺」の1つです。
- 振り込め詐欺
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1990年代に「オレオレ詐欺」を発端に世間に認知されるようになってから、2004年には架空請求詐欺と合わせて警視庁から命名された、つい最近生まれた犯罪になります。
- 還付金詐欺
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振り込め詐欺の中でも特に、国の制度の利用が長くなる「高齢者」ほど被害にあう傾向が高く、全体の「被害の8割以上」が高齢者の被害として数えられています。
“引っかかるわけない”と思える巧妙な手口
実際に「還付金詐欺」の被害に遭った方の80%以上は「自分が遭うはずないと思って過ごしていた」ことが明らかになっています。
それほど還付金詐欺は人々の油断を的確に狙い撃ちする巧妙な手口で行われているのです。
手口①:電話や手紙による接触を謀る
一般的に「還付金詐欺」は直接被害者に電話をかけてきて接触を図る手段が取られます。
「市役所の者なのですが…」などと公的機関であることを自称したあとに「●●様には現在受け取ることのできる還付金があるのですが、以前お送りした“通知書”はご覧いただけたでしょうか?」などと本題の還付金について踏み込んできます。
下準備に徹底している加害者の場合、あらかじめ実際に手紙やハガキ等で還付金に関する偽の通知が送られている場合もあります。
還付金詐欺は知らず識らずのうちに被害者を確実に撃ち落とすべく、囲い込みを行なっているのです。
手口②:緊急性を持たせ、ATMへ誘導する
次に「還付金をお支払いするので手続きをしていただけませんか?」と、被害者をATMに誘導します。
「実は還付金を受ける取れる日付が本日までになっておりまして…」などと緊急性を演出した後、ATMでの操作を電話でオペレーションするよう申し出てくることでしょう。
高齢者の方はATMの利用に自信がある方ばかりではありません。
そのような方にあえて無人のATMを利用させ、加害者側が被害者を操ることで確実に金銭を奪い取りにくるでしょう。
手口③:電話を使った指示で金銭を騙し取る
ATMに到着すると、加害者側が携帯電話によって行う指示に従う形になります。
「私共から●●様に振込をいたしますので、"振込"のボタンを押してください」などのように懇切丁寧に指示をすることで、正確に加害者側へ振込がなされるような指示をされ、金銭を騙し取られてしまいます。
ATMから振り込めば金銭は完全に相手の手に渡ってしまいます。
ここで注目したいのが「振り込んでもらうから“振込”ボタンを操作してください」という“いかにも”な文句で、間違った認識を与える手口があるということです。
普段から利用している方なら「振込」はボタンこちらが現金を送る時に使うものだということがわかりますが、不慣れな高齢者には「とっさの判断ができない」という弱みに付け込んだ卑劣な手口が行われるのが「還付金詐欺」なのです。
還付金詐欺だと見分けるポイント
還付金詐欺は巧妙な話術であたかも真実かのように“誤認”させられてしまう手口ですが、落ち着いて考えると不審な点がいくつもあります。
「人のいない無人のATMを使わされる」
「突然お金を受け取ったかのような話をされる」
「近くに人がいない事を確認される」
など、疑わしい言動を感じ取れたら詐欺を疑いましょう。
緊急性がある事を指摘されるとどうしても焦って冷静な判断ができません。
そのような場合も詐欺から身を守るために「日頃からATMの利用限度額を低く設定しておく」「警察の相談ダイヤル#9110を利用する」など、いくつも対策を練っておくことが、被害を防ぐ最善の手段になるでしょう。